9.操業停止点
企業では、商品等が思うように売れず、欠損が生じて赤字決算になる場合がある。
財務会計では、前年対比などで、経費の削減を行ったり、売上を伸ばすように努力したりする。管理会計では、そもそもの欠損となった原因を解明し、黒字化を目指すための会計でもある。その具体的な方法は、次のとおりである。

先ほどの洋菓子店では、800円でケーキセットを提供し、その原価は300円であった。この原価300円は変動費である。この店では、家賃が月10万円で人件費が30万円のほか、光熱費等が10万円とする。(水道代とガス代は変動費ということも出来るが、ここでは便宜上固定費として扱う。)
洋菓子店は固定費500,000円、変動比率300円÷800円=0.375となる。
この洋菓子店の損益分岐点売上は、500,000円÷0.625=800,000円である。ケーキセットの数で表すと800,000÷800=1,000となり、月に1,000S以上売れれば、利益が出ることになる。1日当たりで見ると月30日営業なので、1日34S以上ということになる。月に10万円の利益を出したいのであれば、600,000÷0.625=960,000円の売上が必要であり、ケーキセット1,200S、1日40Sとなる。

この洋菓子店は、この月に10万円の利益を出すために、40S分の材料費として、毎日12千円使用していると仮定した場合、1Sの原価は300円となり、これが毎日全部売れれば、1月当たりの利益は10万円になる。

ところが、10Sしか売れなかった場合、12千円で造ったケーキセットの原価は1,200円になり、8千円(800円×10S)との差額4千円の損失が生じることになる。この洋菓子店が毎日10Sしか売れなかった場合、1月で12万円の損失になってしまうことになる。
つまり、この洋菓子店は毎日12千円以上の売上がなければ、営業するだけ損失が大きくなることになる。
変動費12千円を回収できる売上は15Sであるから、1日当たり15S以上の売上が確保できなければ、閉店しなければならないのである。この12千円が操業停止点である。

操業停止点は、変動費 > 売上 であり、これでは固定費も回収できていない。